恋愛シーンにおいて好意の返報性が関係する行動の例
人というのは、他人から有形無形の好意を示されて、その好意を受け取ったあとそのまま何もしないでいると、実はとても居心地が悪く、何か借りを作ってしまったような気持ちになります。そこで無意識のうちに「借りは返さなければならない」という心理が働き、何かお返しをしようと行動を起こします。
恋愛シーンで「好意の返報性」という心理が作用すると、恋愛状況が進展に向かうこともあります。そのような例をいくつか挙げてみましょう。
誕生日にプレゼントしたら素敵な展開に!
このケースでは、相手の誕生日を覚えていたこと、好みを知っていたこと、そして喜んでほしいという思いが伝わったのでしょう。このようなさりげない好意は受け取ってもらいやすく、同時に何かお返しをしてあげたいという気持ちになります。典型的な「好意の返報性」の例です。
このようなケースで始まる二人の関係性は、恋愛関係に発展する可能性が高いでしょう。
映画に誘ったお返しに素敵な時間が
誘った相手は「自分に声をかけてくれた」ということが嬉しかったはず。もらいっぱなしでは申し訳ないから、食事やお茶で「ありがとう」の気持ちを伝えてくれたのでしょう。
それまで相手に恋愛感情を抱いていなかったとしても、この「好意の返報性」が、今後のお付き合いにつながっていくことも考えられます。
CDを貸したらデートに発展した
これは相手の作戦勝ちです。好きな人に話しかけるきっかけとして、モノを借りるという行動は断られるリスクが少なく、返すときにも会話のチャンスがあります。しかもこのケースでは、相手の好みに合ったアルバムを渡しているので、そこで「好意の返報性」が働き、二人の間にいい関係性が生まれました。
恋愛で好意の返報性が効かないケースとその理由
前項で、「好意の返報性」が働いたことで恋愛が始まりそうな例をいくつか挙げてみました。しかし「好意の返報性」を期待して行動を起こしても、すべての恋愛シーンでうまく働くとは限りません。
「あなたが好き」と伝えれば「僕も好きだよ」と返ってくるのはむしろ希なケースで、もともと相思相愛だったという条件が揃っていなければ、なかなかうまくはいきません。
「好意」というのは相手を大切に思う気持ち、相手に親しみを表わす気持ちのことです。その温かな思いが相手に伝わるからこそ、相手は受け取ってくれます。そして同じような気持ちを返してくれます。これが「好意の返報性」です。
相手の気持ちや立場を無視した自分本位な思いを伝えても、まず受け取ってもらえません。「あなたが好き」という思いの伝え方を誤ると、相手から好意を持ってもらえるどころか、相手に困惑されたり、敬遠されたりする結果になってしまうこともあります。
重すぎる好意(恋愛感情)はスルーされる
「あなたが好きです」の言葉の中には「あなたも私のことを好きになってください」とか「私のことだけ見てください」といった気持ちも含まれます。しかしあまりにも自分本位の願望を押しつけると、相手は逃げ腰になってしまいます。
これは、ちょうどグローブを持っていない相手に対して重い剛速球を投げつけるようなもの。受け止めることができない重いボールを投げられても、相手はスルーするしかありません。
相手の気持ちや受け入れ体制が整っているかどうかを考えて、相手の手にしっかりと収まるようなソフトなボールを投げること。それが「好意の返報性」が働く条件です。
一目惚れした相手への告白に即答を求めると失敗する
しかしこのようなメルヘンは、現実世界の中ではなかなか起こりません。まして、一方的に一目惚れしているだけでは、相手は自分の存在さえ知らないでしょう。いきなり現われた異性から「好きです」と気持ちを伝えられても相手は困惑する一方です。
「つきあってください」と告白しても、相手にとっては青天の霹靂。強引に答えを聞き出そうとすれば、「イエス」と答えるわけにはいかない相手は「ノー」というしかありません。
一目惚れをした場合は、まずは自分という存在を知ってもらい「これからもあなたに会えるだけでも嬉しい」という気持ちを笑顔で伝えましょう。相手の受け入れ体制が整うまで待つことが大切です。
本当の自分を隠したまま返報性を利用しても自滅する
例えば、思わせぶりな態度で気を引いたり、本当の自分を隠して相手が気に入るようなイメージを装ったりと、姑息な手段で自分を好きになってもらおうとした場合はどうでしょうか。
薄っぺらな演技は、大抵相手に見抜かれます。それを承知の上でお付き合いが始まったとしても、本当の恋愛関係には発展せず、一過性の恋愛ごっこで終わってしまうでしょう。
中には演技と見抜けず、純粋な好意として受け止めてくれて「好意の返報性」が働く場合もあるでしょう。しかしそのまま恋愛関係に進んだとしても、偽りの自分をいつまでも装うのには限界があります。おそらく耐えられなくなって破綻してしまうでしょう。
復縁成功のヒントは好意の返報性の原理の中にある
別れてしまった人ともう一度恋愛関係を築くことは、新しい恋愛をスタートさせるよりも難しい反面、気心が知れている分、アプローチのやり方によってはスムーズに進むケースもあります。
闇雲にもう一度やり直したいと伝えるだけでは、相手に警戒されたり、ますます距離を置かれたりして悲しい結果を迎えることになりかねません。
復縁を成功させるためのヒントが、実は「好意の返報性」の原理の中にあります。気心が知れた二人なら「好意の返報性」のもたらす恩恵を十分に活用できるでしょう。
なるべく早く「友人関係」を築く
逆に、「しつこいと思われたらどうしよう」「どんな言葉で切り出すのがいいのか」などと考えすぎると、結局タイミングを失ってしまうことになるでしょう。
復縁のための第一歩は、友人関係を築くことです。つきあっている間に、相手のいいところをたくさん知っているはずですから、「そういうあなたとこれからもいろいろな話をしたい」と伝えましょう。つまり「好意」を伝えるということです。
その好意を相手は受け取って、同時にあなたのいいところを思い出してくれるはずです。ここで「好意の返報性」の原理が活きてきます。
頼りになる相談相手から恋愛関係へ
友人として新しい関係をスタートさせた後は、気心知れた二人ですから信頼関係も深まっていくはずです。
もし相手が別の相手と恋愛をしていたとしても、まずは良き相談相手として相談に乗ってあげましょう。復縁したいという自分の思いは二の次にして、相手のために何かしてあげたいという本気の思いを伝えられれば、相手にとってなくてはならない存在になるはずです。
二人の間に揺るぎない信頼関係を築くことができれば、新しい恋愛関係へと発展していく可能性は十分にあります。
告白の時の好意の返報性の例
例えば、相手と向かい合うときにいつも笑顔で接するようにします。笑顔はそれだけで、相手への好意を表わすことができるので、相手の笑顔を引き出すきっかけにもなります。
また、会話するときには、相手を名前で呼びかけるのも効果的です。相手のことをしっかりと意識して話をしているという意思表示になるからです。
このように、常日頃からさりげなく好意を伝え続けていれば、相手もいつの間にか好意を持ってくれるようになります。いい関係性を築けていれば「好意の返報性」が働き、一世一代の告白が成功する確率は限りなく高くなります。
褒める+告白
いきなり「つきあってください」と告白する前に、相手のどんなところを好きになったのか、できるだけ具体的に伝えましょう。
「つらいことがあって落ち込んでいるときに、優しく声をかけてくれたことが嬉しかった」とか「学園祭の準備中、みんなを励ましながらリードしてくれる姿がカッコよかった」とか「人の悪口を絶対に言わないから尊敬するし信用できる人だと思う」など、自分で見つけた相手のいいところを伝えましょう。
そして「そんなあなたが好きです」と告白すれば、あなたの好意は相手にまっすぐ伝わるでしょう。その好意に対して相手も嬉しい気持ちになるに違いありません。
楽しい時間を共有したい気持ちを伝える
例えば、いつも大勢の仲間と一緒にカラオケにいでくのであれば、チャンスを見つけて「今度は二人だけで来たい」と伝えてみましょう。例えば、ゼミで同じ研究をしている仲間であれば、研修旅行と銘打って旅行を計画してみるのもいいでしょう。
いい関係性を築けているとしても、友人としての関係が長くなりすぎては、その他大勢の内の一人として埋もれてしまいかねません。恋愛関係へステップアップするには、思い切って大きな一歩を踏み出す勇気を出しましょう。
返答は求めず思い続けていた気持ちだけを伝える
「ずっと好きでした。これからもずっと好きでいてもいいですか」
何の見返りも求めないこのような告白なら、相手も少なからず心を揺さぶられるはずです。「付き合ってほしい」と言われたわけではなく、「好きでいてもいいですか」と問われているのですから、この質問には「イエス」と答えるか「ありがとう」というしかありません。
恋愛での好意の返報性の効果
せっかくスタートした恋愛関係を長く続けていくためには、相手を気遣う思いやりの気持ちを忘れないことが大切です。この思いやりこそが「好意の返報性の効果」を発揮できる最大のポイントです。
恋愛中にもしトラブルが発生しても、「好意の返報性」の効果によって、トラブルが回避できたり、トラブルが解決できたりすることもあります。そればかりではなく、さらに信頼感を高めることにもつながります。
【喧嘩をしたとき】仲直りしたい気持ちを伝える
どちらかが素直に謝れればいいのですが、どちらも自分が正しいと思い込んでいるのですから、簡単に頭を下げることは難しいでしょう。
そこで、仲直りしたい気持ちだけを伝えてみましょう。どちらが悪いかを突き詰めるのではなく、そして相手を責めるのでもなく、「いがみ合いたくない。仲直りしたい」という気持ちを伝えます。この気持ちが相手に伝われば、相手の頑なな気持ちもほぐれ、この提案に賛成してくれるはずです。
好意の返報性の原理と心理テクニックの活用方法
ドア・イン・ザ・フェイス
例えば、「見たい映画があるの。今日これからつきあってくれない」と半ば強引に誘ってみます。突然の申し出に相手が困ったり、今日は予定があるから無理だと断ったりしたとします。そこで「いつならつきあってもらえる?」とたたみかけます。すると、相手は一度断っているので、二番目の要求をつい受け入れてしまいます。
気が弱い人や人に気を遣うタイプの人には有効な方法ですが、使いすぎると「強引な人だ」と思われるので要注意です。
フット・イン・ザ・ドア
例えば、相手がよく聞いている音楽について質問をします。おそらく気軽に答えてくれるでしょう。次に「曲を教えて」とお願いし、「聞いてみたいな。CD貸してくれる?」と少しずつ要求を大きくし、一緒にコンサートに連れて行ってもらうという大きな要求まで受け入れてもらう、といったテクニックです。
一度要求を受け入れると、次の要求も断ることができなくなってしまうという心理を利用する方法です。