占星術におけるドラゴンテイルとドラゴンヘッド

占星術において、その星は天空に存在していないにもかかわらず、多大な影響力を持つ「惑星」としてホロスコープ上に加えられている「もの」があります。(この実在しない星を占星点といいます)今回その類まれな「姿なき惑星」、「ドラゴンヘッド」と「ドラゴンテイル」をご紹介したいと思います。

「存在しない星」「姿なき惑星」、「ドラゴンヘッドとドラゴンテイル」の正体とはいったい何なのでしょうか。最後までお読みいただけると幸いです。

神話からの由来としてのドラゴンテイルとドラゴンヘッド

その2つの惑星の概念のルーツはインド神話の中に見られ、後にその概念が西洋占星術にも取り入れられていきます。インド神話のなかで、アスラとの長きにわたる戦いに疲弊した神々が、アムリタという不死の妙薬を作ります。すると、その妙薬を魔人ラーフが盗んで飲んでしまいます。

魔人ラーフは羅ゴウ星とも呼ばれる凶星ですが、そのラーフの行いを目撃した太陽と月はヴィシュヌ神に密告します。神々の飲み物を盗み飲んだ罪によってラーフはヴィシュヌに首をはねられ、そのときに切り離された頭部が「ドラゴンヘッド」、そして胴体部分が「ドラゴンテイル」と呼ばれるようになります。

そして2つに寸断された彼らは、不死の薬により死ぬことはありませんが、その宿業から自分たちの罪を密告した日月を恨んでも彼らを追い回し、飲み込もうとする竜として天空を移動しているのです。
そして、飲み込まれた状態こそ、月食であり、日食なのです。

実際の天体におけるドラゴンヘッドとドラゴンテイル

では、実際の空ではこの2つの存在はどうなっているでしょうか。この2つは、現実の空においては、月の軌道である白道と、地球の公転軌道である黄道の交点を指しています。地球の公転軌道の黄道は、地球上の私たちからみると、ちょうど太陽の通り道にあたります。

その白道と黄道の交点は2か所あり、この2つのポイントは西洋占星術においてはノード(結び目)と呼ばれています。そして、このポイントは惑星のように19年でかけて一周し、地球の北極にむかって南から上昇する点がノースノード、すなわち「ドラゴンヘッド」、そして北極から南極にむかって下降する点がサウスノード、すなわち「ドラゴンテイル」と呼ばれ西洋占星術にも影響を与えるようになりました。

では、この架空の惑星「ドラゴンヘッド」と「ドラゴンテイル」は主にどんな影響力を持つのでしょうか。次節以降でご紹介していきます。

カルマとしてのドラゴンヘッドとドラゴンテイル

この二つの天空のポイントは、日月を飲み込む小さなブラックホールのようです。現実のブラックホールはもちろん、一度星々を飲み込んだら、もう、もとには戻りませんが、概念としての天空において、日食、月食は日月を飲み込むドラゴンとしてあらわれ、天空を飛翔します。

もともとはラーフという魔人であるこの竜は、ヴィシュヌ神に胴体を寸断されるというカルマ(過去からの因業)を持っています。そして神々の薬であるアムリタを飲み干したドラゴンは、不死の身となって日月を追い回します。このドラゴンの象意はまさに「業」を表すといっていいでしょう。

寸断された「ドラゴンヘッド」と「ドラゴンテイル」は現実の天空においても、ホロスコープ上においても、正反対に位置しています。というよりは、寸断されてはいますが、常に180度の位置を保ちながら、ホロスコープ上にまっすぐに胴体を横たえる竜と解釈できます。

この2つのポイント、西洋占星術では「ノースノード」と「サウスノード」、北と南の結び目。そしてインド1占星術においては「ドラゴンの頭」と「尾」。これらは、正反対を意味しますが、まったく別々のものということではなく、一つの現象の「表」と「裏」、「陰」と「陽」とも解釈できます。

実際、いくつもの文献の中に、ドラゴンヘッドとドラゴンテイルの象意を説明するものがありますが、文献によっては、まったく正反対に書かれていることも少なくありません。これはどちらかが間違っているのでしょうか。

それは解釈の差によって起きる現象ととらえてよさそうです。このドラゴンヘッドとドラゴンテイルの2つの象意は、タロットのリーディングに酷似していて、「逆位置」(オポジッションまたはリバース)をどうとらえるかに似ています。

ドラゴンテイルと12星座

ドラゴンヘッド・ドラゴンテイルと12星座

ではこの2つの「業の惑星」はどう12星座と関係するのでしょうか。これには、いつもの星占いとは異なり、生まれだけが解れば貴方の星座にどうドラゴンヘッドとドラゴンテイルが影響しているのかを知ることは残念ながらできません。

これを知るためには、貴方の生年月日と誕生した場所、時間のデータが必要です。そして、貴方のバースチャートを作成する必要があります。しかし、こうした、いささか面倒で専門的な作業も今はインターネット上で容易に算出してもらえます。ここにいくつかバースチャートと天体のデータを算出してくれるサイトをご紹介しておきますので、ぜひお試しください。

サイト紹介
・http://happyrodents.net/horoscope/ 天体位置計算機
・http://www.m-ac.com/pages/setting_j.php 無料ホロスコープ作成サイトmyAstroChart

バースチャートとドラゴンヘッド/ドラゴンテイル

さて、貴方だけのバースチャートは作成されているでしょうか? それではそのチャートの中に「ドラゴンヘッド」の記号がどこにあるかを確認してください。

「ドラゴンヘッド」の記号はちょうど洋服のホックのような形をしています。「trueノード」と記されていることもありますが、それがドラゴンヘッドです。

ここで、ドラゴンヘッドとドラゴンノードの12星座とのかかわりを知るためには、星の運行を正確に記したホロスコープは必須です。

 ドラゴンヘッド/ドラゴンテイルと12星座

12星座と12のハウス

まず、占星術において、必ず必要なものが、天体の動きを記録したホロスコープです。ホロスコープがない状態での占星術は存在しえません。まず、ホロスコープは円を十二に分割します。そしてハウスと呼び、1~12まで、それぞれの位置にその位置が表す象意を定めます。

この12分割された部屋は、そのまま地球の自転に関係しています。このハウスにどんな惑星があるかによって、運命が読み解かれていきます。

ハウスの位置と黄道12星座(宮)とは別物ですので、混同しないように注意しましょう。おおむね現在のホロスコープはイコール・ハウス方式(円を均等に12分割してあるもの)で、第一ハウスに牡羊座を置くものが一般的で使いやすいでしょう。インターネット上で、配信されているものなどは、このパターンが主流です。

基本星座の求め方

各ハウスごとに意味があり、そして、そこに12星座が配置されているわけです。そのハウスの意味はこの時点でも星座の持つ意味あいと、ハウスそのものが持つ意味合いに支配されています。

さて、このホロスコープ上において太陽はどのハウスにいるでしょうか。見つけることができましたら、それが貴方の基本的な星座です。星占いで、「何月何日~何月何日は何座」と書かれているあれです。

では、ドラゴンヘッドとドラゴンテイルはどう影響するのでしょうか?

惑星と同じ影響力を持つ架空の星

ホロスコープ上にドラゴンヘッドの記号を見つけられたでしょうか。その180度向かい側が「ドラゴンテイル」の存在するハウスになります。この2つの『見えざる惑星』こそ、貴方の前世からの断ち切れないカルマを表し、各星座の象意とハウスの象意、また他の惑星に対しても多大なる影響を与えます。その影響は単に、「凶」ととらえるべきではありません。

多大なエネルギーを操るだけの力量があれば、それは絶大な前世から引き継がれた「強運の星」ということになり、また、本人にその器量が備わっていなければ、その星は「前世からの断ち切らなくてはならない課題」となることでしょう。

蟹座とドラゴンテイル  具体例 1

ハウスの持つ象意と12星座の持つ象意に関しては一般的なものをここでは採用します。この章では「蟹座とドラゴンテイル」と題していますが、これは『基本星座が蟹座の人』という意味ではありません。

バースチャートを作成した際、いままでお話ししてきた通り、ホロスコープ上、どのハウスにドラゴンヘッドが存在し、そして180度向かいのドラゴンテイルがどのハウスにあるかによって決まります。ですから、この表題にある「蟹座とドラゴンテイル」とは、「蟹座のハウスにドラゴンテイルがある人」ということになります。

ドラゴンヘッド 第10室 山羊座
ドラゴンテイル 第4室 蟹座

ドラゴンヘッドが第10室にあるとき、180度向かいのドラゴンテイルは第4室にあります。第4室は『家庭』や「平安」「慣れ親しんだ場所・事柄」を表します。この場所にドラゴンテイルがあるということは、家庭や慣れ親しんだ場所から離れて、冒険することで過去の因縁から解放されることを暗示していると解釈できるかもしれません。

魚座とドラゴンテイル 具体例2

この「魚座とドラゴンテイル」に関しても具体例2と同様のことがいえます。この表題にある「魚座とドラゴンテイル」とは「魚座のハウスにドラゴンテイルがある人」ということになります。

ドラゴンヘッド 第6室乙女座
ドラゴンテイル 第12室 魚座

ドラゴンヘッドが第6室 おとめ座にあるとき、180度向かいの第12室にドラゴンテイルがあります。第6室は「労働」や「健康」に関する部屋です。この部屋にドラゴンテイルがあるということは、過去正における因縁として、経営者であった自分が他者を酷使した業を持っているかもしれません。

その業を償うために、今世においては、他者のための奉仕を行う機会が増えることでしょう。こうして過去生におけるカルマを解消し人間としての成長を促すのがドラゴンテイルの役割であるととらえることができます。

ドラゴンテイルとリリス

リリスとは、ドラゴンヘッド・ドラコンテイル同様、ホロスコープ上にのみ存在する惑星、占星点の一種です。リリスは月の軌道である白道上にあり、地球から最も月が遠ざかる点を指します。

リリスの名前の由来はユダヤ教における闇の天使です。旧約聖書イザヤ書34の中に「こうもり」「ふくろう」と例えられて夜を支配する天使として登場します。月夜といっても地球から最も遠い月の明かりは闇夜に近い間の潜む夜だったにちがいありません。

現実の空においては、地球から遠ざかるので、月そのものは小さくなるため通称ブラックムーンと呼ばれています。リリスの支配する作用は主に性的なことと関連しているようです。運命の人との性的な相性を知る上では、興味深い星といえるでしょう。

さて、このリリスにも「合」が存在します。同じハウス上にリリスと、他の惑星(太陽・月・金星・火星・木星・土星・天王星)がコンジャンクションするとき、その意味あいは特別な意味を持つようです。その惑星のなかに、やはり同じく「占星点」である「ドラゴンヘッド」と「ドラゴンテイル」も含まれます。

過去生のカルマと深い関連のあるドラゴンヘッドとリリスがコンジャンクションを形成するときは、その相性は運命というよりは宿命的な前世からの縁を表しているかもしれません。そして、それがさらに「ドラゴンテイル」だったときは、その前世からのカルマとしての相性は、断ち切らなければならない宿命の縁かもしれません。

今生の課題として、克服し、断ち切っていかなければならない「相性」というものもあるのです。リリスとドラゴンテイルの関係は私たちに、生きていくうえでの試練と課題を提示しているといってもいいかもしれません。

ドラゴンテイルで占ってみよう

いかがでしたでしょうか。今回はドラゴンテイルとドラゴンヘッドについてご紹介しました。聞きなれない単語が多かったかもしれません。これを機に、ぜひあなた自身の人生について、占ってみてください。ドラゴンテイルが思わぬヒントを与えてくれるかもしれません。

占星術について詳しく紹介している本

こちらのオススメの一冊を読めば占星術について色々と知ることができます。
興味がある方は是非読んでみてください。

元記事を読む URANARU

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